親知らずの知識
親知らずとは
親知らず(おやしらず)とは、大臼歯(大人の奥歯)の中で最も後ろに位置する歯であり、第三大臼歯が正式な名称で、智歯(ちし)とも呼ばれています。親知らずは中切歯(最前方の前歯)から数えて8番目にあり、永久歯(大人の歯)の中で最後に発育します。永久歯は通常15歳前後で生え揃いますが、親知らずは生える時期が概ね10代後半から20代前半であり、親に知られることなく生えてくる歯であることがその名前の由来だとも言われています。
ヒトの進化と親知らず
親知らずは一般的には、上あごの左右2本と下あごの左右2本の計4本ありますが、もともと親知らずの無い人や、必ずしも4本が揃っていない人など個人差があります。親知らずの生えてくる場所が不足している、あるいは萌出方向(生える方向)が通常と異なるために、埋伏(埋まった状態)していたり、傾いてきちんと生えてこないことがしばしばみられます。
親知らずの歴史
親知らずの埋伏や先天性欠損(発育段階から形成されずに歯が存在しないこと)は人類の進化の一過程という考えがあります。しかしこれは現代になって生じた現象ではなく、クロマニヨン人においても既に発現していて、親知らずの埋伏や欠損は弥生時代からすでに珍しくない現象であったようです 。現代人になって急激に親知らずの先天性欠損や、親知らずが生えてこないことが増えたという感覚を持つ人が多いようですが、現代人において全ての親知らずが生える頻度が増加し、親知らずの先天性欠損が減少したという調査結果もあります 。親知らずの埋伏や欠損は悠久の時の流れの中での傾向であり、近年になって爆発的に増えたわけではないのです。
ヒトの進化と親知らず
親知らずは一般的には、上あごの左右2本と下あごの左右2本の計4本ありますが、もともと親知らずの無い人や、必ずしも4本が揃っていない人など個人差があります。親知らずの生えてくる場所が不足している、あるいは萌出方向(生える方向)が通常と異なるために、埋伏(埋まった状態)していたり、傾いてきちんと生えてこないことがしばしばみられます。
親知らずの歴史
親知らずの埋伏や先天性欠損(発育段階から形成されずに歯が存在しないこと)は人類の進化の一過程という考えがあります。しかしこれは現代になって生じた現象ではなく、クロマニヨン人においても既に発現していて、親知らずの埋伏や欠損は弥生時代からすでに珍しくない現象であったようです 。現代人になって急激に親知らずの先天性欠損や、親知らずが生えてこないことが増えたという感覚を持つ人が多いようですが、現代人において全ての親知らずが生える頻度が増加し、親知らずの先天性欠損が減少したという調査結果もあります 。親知らずの埋伏や欠損は悠久の時の流れの中での傾向であり、近年になって爆発的に増えたわけではないのです。
親知らずの病気
親知らずは歯肉に部分的に被ったままになることにより不潔になりやすく、歯肉の炎症を起こしやすい状態となってしまいます。これを智歯周囲炎(ちししゅういえん)と呼び、20歳前後の人に発生する頻度の高い疾患です。智歯周囲炎が周囲の軟組織や顎骨(がっこつ:あごの骨)に広がると顔が腫れたり、口が開きにくくなったりすることがあります。この智歯周囲炎になった場合は、抗菌薬(化膿どめ)や消炎鎮痛薬(痛み止め)の投与、さらにはうがい薬などを併用して炎症を鎮めた後、歯肉弁切除(被った歯肉を切除)を行い、様子を見るといった場合もあります。しかし、親知らずの生える方向が悪かったり、炎症をくり返しているような場合は、抜歯することが適当と考えられます。
親知らずの抜歯
親知らずの抜歯は正常に生えている場合には、普通の歯を抜くのと同様に比較的簡単に抜くことができます。しかし、親知らずの大部分が骨の中に埋まっていたり、歯の根っこの形が複雑だったりすると、歯肉を切開したり、骨や歯を削ったりするため抜歯するのにもかなりの注意と手間が必要となります。なお、親知らずの状態や患者さんに持病があったりする場合、入院や全身麻酔下での管理が必要となる場合もあります。
埋伏した親知らずの歯の周りにエックス写真で袋のような影が確認される場合があり、このような状態の病気を嚢胞と言います。嚢胞は一般に無症状に経過しますが、感染(化膿すること)による痛みや病変の拡大に伴う顎骨の腫脹(腫れ)を生じることもあります。基本的には良性の病変ですが、腫瘍との鑑別診断が必要であり、病変の一部を切除するか、親知らずとともに全摘出した上で、病理検査を行うことをお勧めします。
埋伏した親知らずの歯の周りにエックス写真で袋のような影が確認される場合があり、このような状態の病気を嚢胞と言います。嚢胞は一般に無症状に経過しますが、感染(化膿すること)による痛みや病変の拡大に伴う顎骨の腫脹(腫れ)を生じることもあります。基本的には良性の病変ですが、腫瘍との鑑別診断が必要であり、病変の一部を切除するか、親知らずとともに全摘出した上で、病理検査を行うことをお勧めします。